ツキと技術のハーモニー
タクシーという仕事は「営業職」
むかし私は、とある営業マンをしてましたが、ある時「営業はゲーム。」ということを聞いてから仕事の接し方が自分でも驚くほど変わっていったことを思い出します。
ここで断っておかなければいけないことは「ゲーム」というと何かしら軽く捉えているように思われがちですが、そうではなくルールに則って自己のスコアメイクを目指すという意味で使っています。
加えてタクシーは事故の確率も低くないので事故を起こさない、巻き込まれないようにするゲームとも言えます。
時折「タクシーの仕事って運だけやろ?」という言葉を耳にします。
私はこの手の意見に価値を認めません。
この仕事の本質をよく理解していない人の言葉としか思えないのです。
売上の高いドライバーは常に運がいいのか?その逆は?
およそ売上の高い人は平均して高く、その逆も然りなのです。
高い人は経験を通して培ったカンや技術を活かしながら着々とこなしていきます。
その反対は何も考えず、何の情報(イベント等)も持たず、何の研究もしない、休憩ばっかりしているような方です。
したがって安定した売上は運だけではないのです。
アプリ配車による比率が高まってきていることは確かですが、「流し」もまだ存在します。
ごくごく単純な見かたをすれば「流しは技術。 無線・アプリ配車は運。」
流しを技術としたのは、漫然と走っていて引っ掛かるものではなく多くのコツやツボがあるから。
一方無線やアプリ配車はどうか。
一応「この曜日のこの時間帯はあのエリアでよく当たる。」といった予測をして網を張ったりするのですが考えることは皆同じで、不発に終わるケースも多く、まさしく時の運による要素が多いのです。
ちなみに流しの技術を少しだけ…
①ゆったりとした速度(30~40㎞/h 状況にもよりますが)
②キープレフト(2車線以上ある場合、左車線以外走らない)
③前方のタクシーとは車間を十分にとる。
④あるいは即コースを変える。(右左折をかけてバラける)
⑤大きい交差点の先頭で停まるように走る。(チャンス拡大)
⑥8の字を書くようにして周る。(ベッタリとねちっこく)
⑦乗られそうな方を瞬時に見分けアイコンタクト。(手を挙げない方をゲットできれば上等です)
といった具合です。
他にも、もっと細かいテクニックがたくさんあるのですがこれ以上は言えません笑
いかにも出来そうですが出来ないんですコレが。
街中でいろんなタクシーの動向を見ていますが「この空車、お客様とる気あんのかな?」と思えるような走りをしてるタクシーの多いこと多いこと。
実際乗られた方から「2台もスルーされたわ。」ということが数回ありました。
くどいようですが何も考えずに走っていてお客様を獲得できるものではないと。
特にまだタクシー利用が戻ってない状況下においては尚更のことです。
いわゆるツキと言われるものですが呼び込むことはなかなかです。
ツイてる典型は降車後即乗車。これは異論のないところでしょう。
あとワンメーターが続きに続いても腐らずに走ることも大事です。我慢していれば途中から上向いてくることも少なくありません。
一方でツキに見放されるのはいとも容易いことです。
【ツキが離れていく事例】
(1)流しでの見落とし(これを連発すると目に見えてツキが落ちていきます)
(2)実車中のミス(ルートや、つけ間違い。釣銭のミスなど)
(3)空車走行が1時間以上(焦りと疲労の倍々ゲーム)
(4)一般車、同業他社とのトラブル(割り込んだ等)
これを書いているということは私に経験があるからですが「ミスはしても最小限に抑える。」という心がけをしています。
また私はこの仕事で最もしてはいけないことは気持ちを切らせて早上がりする事だと思っています。
「今日はあかんわ。」と諦めて明日に備えるという考えもありますが今日の挽回をすぐ出来ることなどあり得ないからです。
このおかげもあって大過なく今に至っています。
そして私はこういうところにタクシー稼業の本質があるように思っています。
つまるところ「ガードをしっかりしておく。」ことなのだと。
いかにミスをしないかも大事ですが相手(お客様や通行するすべての人や車)があることなのでミスをゼロにするというのは無理があります。
その筆頭はやはり事故を起こさないということです。この点についてはまた改めてUPする予定です。
稼げるドライバーとは絶えずアンテナを張り巡らし、乗ってもらえそうなポイントを作っていくことに長けています。
「商売は場所。」
これが揺るがざる鉄則ですがタクシーで難しいのはこれが固定しないところにあります。
お店ならば一定の場所に構えて来店を待つということになりますがタクシーはそうはいきません。
(「タクシーのりば」という固定したところはありますが)
昨日はAエリアでよく乗ってもらえたので今日もいけるんじゃないかと思ってしまいますがそうは問屋が卸してくれません。
「駅待ち」といってタクシー乗り場のある京都駅や、繁華街のタクシー乗り場に並ぶというのも立派な戦法なのですが私はよほど空いてる時しか入りません。
時間との勝負でもあるのでより良い効率を求めるのなら長時間待機という考えは真っ先にカットすべきことなのです。
取り留めのない内容になりましたが営業スタイルはどれが正解かというのはありません。
しかしこんな事をしていては稼げないというのはあります。
これからのアフターコロナにおいて営業スタイルはさらに変化を遂げていくものと思われます。
それでも今ある本質のところは変わらないのではないのだろうとも感じています。
腕を磨いてツキを呼び込む。
これからもたゆまぬ研究、努力をしていきます。
掛見